個人的なことですが先日5/21、5/28に本番を迎えました。
今回はもともと緊張やプレッシャーを感じやすいタイプの私が、続けて2回の本番をどう乗り切ったのか、練習方法や心の持って行き方を書いてみたいと思います!
緊張を感じやすい方に、少しでも参考になることがあれば嬉しいです。
緊張って自分が作り出した幻なんじゃないか
私が学生の頃はステージ=誰かに評価される場所という思考が染みついてしまっていて、人前での演奏がまったく好きではありませんでした。実技試験の前は1か月くらい前からよく眠れなかったり、胃が痛くなったりすることはよくありました。本番でも上手く弾けなかったなと思ったり、実際に手が震えたりペダルも踏めないくらいに身体の動きに影響してしまっていました。当時の自分のことを今になって振り返ると、心配症なせいで余計に自分にプレッシャーを掛けてしまっていたなと感じます。
今は本番を迎えるまでの怖さはあるけれど、ステージに上がると音楽を楽しんで弾けるように変わっています。そして、ある程度の緊張というのは良い演奏に必要なものだと感じるようになりました。
緊張はマイナスに働くと指が震えて頭が真っ白になる怖いものですが、プラスに働くと音楽に没頭でき、一瞬一瞬にインスピレーションが広がっていくようなすごい集中力を得られます。ステージに上手く心を持って行けると演奏がとても楽しく、演奏が終わるのが惜しくなってしまうくらいです。
緊張がプラスになるための事前の練習は入念に、そして本番の成功も失敗も回数を重ねていけば必ず改善していきます。心配性の私がどうやって本番の緊張を克服しているかを書いてみます。
本番前になったら暗譜の練習
私がステージでの失敗で一番怖いと思うのは、本番で暗譜が飛んでしまうことです。
暗譜が不安な場所になると「次は何だっけ?」と、ふと我に返ってしまいます。集中力が切れた途端に弾くのが怖くなってしまい指が浮ついたようになりミスにつながります。演奏中は音楽に没頭して心の揺らぎが無いことが理想だと思います。
暗譜は「頭で覚える」ことと「身体(筋肉)で覚える」ことの2つの記憶が絡まるようにして覚えている感覚があります。例えば、頭で音だけ覚えて理解していても筋肉がその動きを覚えていないと指が回りません。もっと言えば次に出したい音のタイミングや強弱があっても、実際の動きとして弾けるようにしていないと表現が出来ません。これは技術練習と直結しています。
それとは逆に筋肉だけで覚えていると、ふと我に返った時に「次の音は何だっけ?」とパニックになります。おそらく本番で頭が真っ白になってしまう人、ふとした時に暗譜が飛んでしまう人は、普段の練習で筋肉の記憶を頼りにして弾いている割合が多いのではと思います。これは技術というより楽譜の暗記に近いです。
本番前の練習で気をつけることは、頭(楽譜の記憶)と筋肉(動きの記憶)の両方の記憶を使って覚えていくことです。次に私が試している練習の方法について書いてみます。
記憶のための練習
練習の方法としては以下のようなものですが、練習時間には限りがあります。全てを完璧に練習する必要はなくて、記憶している場所の割合を増やしてリスクを減らすようなイメージです。アイデアとしてお試しください。
主に頭で覚えているかを確認する、記憶を定着させる練習になります。
・片手ずつ次の音を頭で唱えながら止まりそうなくらい遅いテンポで弾く。
テンポは遅ければ遅いほど良くて、前の音と次の音の音楽的な繋がりが分からないくらいが良いです。
音を頭で言いながら進んでいくと非常に時間がかかるので気が遠くなるくらい大変ですが、私の場合は特に左手が覚えられていないことが多いです。
・わざといつもと違うアーティキュレーションで弾く。
慣れで無意識に音を弾いてしまわないよう、わざと違うアーティキュレーションを試します。演奏しながらアーティキュレーションを変化させる瞬発力を鍛える技術の練習にもなるし、新しいインスピレーションが転がり込んできたりするので楽しい練習です。本番で筋肉の動きがいつもと違ってしまった時でも、次の音を弾けるようにします。
・いつも意識しているのと違う声部を意識して弾く。
特にメロディ以外の声部は筋肉の動きでしか覚えていなかったりします。内声、バスの動きや和音の繋がりに意識を向けて練習します。1声を歌いながら弾く、抜き出して弾く、逆に抜いて弾く練習や、和音や転調のアナリーゼをしておくのも良いと思います。
・意識的に違う視線で違うところを見て弾く。
視覚はとても重要な情報です。私の場合、慣れている視線と違うところを見てしまったりするだけで、いつもと違う感覚になってしまうことがあります。技術的なことの補助のためにも、難しいところは特に視線を決めておいた方がいいと感じます。
他にも
・弾かずに身体の動きや音符をイメージする。
・どの小節、拍からでも弾けるようにする。
いろいろ方法はありそうですね。
私は不安に陥りやすい性格なので、本番前になると記憶を試す練習も取り入れて抜き打ちテスト式に自分を試してみます。全部を完璧にするには時間がかかりすぎてしまうので、不安なところなどをできるところまでやってみるのが良いです。ここは覚えているから大丈夫だと思うだけでも安心できますね。
集中力を長く保った練習
本番では弾き終わるまでの数分~1時間半以上集中を保たなければなりません。自宅のピアノなど、慣れた環境での練習では常に集中力を保って弾き続けることは難しいですが、工夫次第で緊張感を作り出すことができます。本番と同じ緊張感の中で練習ができたら、目の前の演奏に集中できますね。
今回行っていた練習はこちらです
・家族、友人、先生に聴いてもらう。
・レコーダーで一発録りで練習する。
・いつもと違う場所で練習する。
今回のコンサートの直前の1週間は、ほぼ毎日誰かしらの前で通して練習していました。緊張した時にどこを間違えるのか、身体のどの部分がいつもと違う動きになってしまうのか、演奏前と演奏中の心の状態がどうなると上手くいきやすいのかを反省しておきます。
毎回の通し練習で何か目標を持って弾いてみると良いですね。
ルーティーンを決める
長いルーティーンは1か月や1週間前から決めておくこともできます。
本番当日は演奏直前に何をしていたら落ち着いて演奏できるのか、演奏前の食べ物や飲み物、本番前に舞台袖にいるか離れたところにいるか、体を動かしたいか、誰かと話していたいか、など人によって様々な方法があります。舞台に上がってからも、ハンカチで鍵盤や手を拭いたりしたり、深呼吸したり、曲をイメージしたり、色んなことで緊張を和らげたり心を落ち着ける方法があります。
私の場合は弾く前にMCがある本番だったので、椅子に座ってから集中する時間をたっぷり取って始めました。MC前から集中するのは難しかったので、舞台袖から離れて身体を動かして緊張を感じないようにしていました。
緊張は自分で作り出しているもの
緊張に負けやすい心は私の経験上、練習不足なのが分かっていたり、お客さんの評価を気にしてしまったりという自分の心の持って行き方で作り出されてしまいます。自信がない時は心が縮こまったようになって楽しく演奏できないこともあります。そんな時には演奏するステージでの目標を作ってみてください。それを1つ1つクリアしていったら達成感があって、どんどんステージにも慣れていけると思います。
「今日は舞台で冷静になるまで待って弾き始めてみよう」「たくさん練習したあの場所を練習通りに伝えよう」「練習不足な部分でも心を落ち着けて弾いてみよう」「身体の動きがいつもとどう違うのかを確かめてみよう」など、1つ成長するための収穫があるだけでいいと思います。
人前での演奏が苦行のように感じてしまう人へ
本番は音楽を誰かと共有して楽しむためにあるものです。コンクールや試験ではないステージでは厳しい評価の視線が向けられる訳ではありません。他人の評価でそのステージの演奏の良し悪しを決めるのではなく、自分が良いと思う音楽が出来たかどうかで決めてください。
私は自分が音楽を演奏する理由は、私の音楽や考え方が良いなと思ってくれる人達と過ごしたいからです。実際に私が好きな演奏家たちはそれぞれ尊敬できる素敵な部分があって、心を惹かれる演奏を聴かせてくれます。その人の持っている音楽が素晴らしいと共感できれば、多少のミスがあったとしても、自分が思っているより他人には気にならないものです。
緊張は誰でもするものですが、全員のパフォーマンスを落とすものではありません。素晴らしいステージの響きの良いピアノで集中して弾いていたら、ふと新しいイメージが浮かんで来たり、こうやって弾きたい!ということが本番中に次々に起きてきます。そういった生きた音楽を聴き手と共有できることは双方にとって素晴らしい体験になりますね。
ぜひ本番の緊張を怖がらずに、ステージを楽しんでみてください。私もまだまだ精進しなければいけないですが、たくさん失敗しながら感覚を掴んでいくのを楽しんでいけば、必ず改善していくと思っています!
リベルテ音楽教室はちょうど発表会前なので、私の苦い経験も交えながら、その生徒さんや曲に合った方法を編み出してお教えしています。お子さまたちも大人の生徒さんも、具体的に目標を立ててやってみると前向きに取り組めるみたいです。あと一息がんばりましょう♪
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